建設リサイクル法の分別解体とは?詳細な手順をわかりやすく解説!

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建設リサイクル法の対象建設工事では、原則分別解体の実施が義務付けられています。

計画書や報告書の提出も義務付けられており、正しい分別解体を実施していなければ指摘が入る可能性があります。

本記事では建設リサイクル法などの法令に準じた分別解体の手順をわかり易く解説していきます。

本記事のポイント
・建リ法の対象建設工事では分別解体が義務
・分別解体の手順も法令で規定されている
・正当な理由なく分別解体をしない場合は罰則


建設リサイクル法とその対象となる工事

建設リサイクル法は、建設工事で排出される廃棄物の再資源化(リサイクル)の促進を目的とする法律で、建設廃棄物において「廃棄物処理法」と並んで遵守が求められる重要な法律です。

この法律によって、以下の条件に合致する建設工事(対象建設工事)においては、分別解体や廃棄物の再資源化などが元請業者に義務付けられます

対象建設工事
特定建設資材(a)を用いた建築物等の解体工事や新築・改修工事等で、規模の基準(b)以上のもの

(a)特定建設資材
以下の4つの資材を指す。
※詳細は「建設リサイクル法の特定建設資材について」を参照

①コンクリート
②コンクリート及び鉄からなる建設資材
(プレキャスト鉄筋コンクリート等)
③木材
④アスファルト・コンクリート

(b)対象建設工事の規模の基準
特定建設資材のいずれかを使用している建築物に関する工事で、以下の基準に該当すれば、建設リサイクル法の対象建設工事ということになります。
※詳細は「建設リサイクル法の対象建設工事について」を参照

工事の種類規模の基準
建築物の解体工事床面積 80㎡以上
建築物の新築・増築工事床面積 500㎡以上
建築物の修繕・模様替等工事
(リフォーム等)
請負代金 1億円以上
建築物以外の工作物の工事(土木工事等)請負代金 500万円以上

対象建設工事に課せられる義務

建設リサイクル法の対象建設工事に該当する工事は、その工事の発注者や元請業者が以下の義務を負うことになります。
※これら義務に関する詳細は「建設リサイクル法とは?施工業者の義務を解説」を参照下さい

対象建設工事における義務
分別解体等の実施
・特定建設資材廃棄物の再資源化
・発注者による行政庁への事前届出
・元請業者による発注者への再資源化完了報告

本記事では分別解体等の実施義務について詳しく紹介していきます。


分別解体とは?

対象建設工事で実施が義務付けられる分別解体ですが、建設リサイクル法の中で以下のように定義づけられます。

建築物その他の工作物の全部又は一部を解体する建設工事において、建築物等に用いられた建設資材に係る建設資材廃棄物をその種類ごとに分別しつつ当該工事を計画的に施工する行為

建設リサイクル法 第2条第3項

つまり廃棄物を分別しながら建築物を解体する行為を指し、ミンチ解体のような重機で建築物を一気に取り壊す解体工法とは異なる解体工法です。
※対象建設工事においてはミンチ解体は原則禁止されています


分別解体の手順

それでは建設リサイクル法に基づき、元請業者に義務づけられている分別解体の手順を紹介していきます。

①対象建築物に関する事前調査
工事を請負った元請業者は以下の事項について調査を行います。

・対象建築物とその周辺状況
・分別解体をする為に必要な作業場所
・現場で生じる特定建設資材廃棄物の搬出経路
・残存物品の有無
・吹付け石綿などの付着物の有無 等

②分別解体の計画作成
元請業者は①の事前調査の結果に基づき、分別解体の計画を作成します。
この計画には以下の事項を記載しなければなりません。

・事前調査の結果と事前措置の内容
・工事の工程順序、各工程の作業内容、分別解体の方法
・特定建設資材廃棄物の種類ごとの見込み量及び発生場所
・その他分別解体の適正な実施を確保する為の措置 等

計画に関するポイント

・計画書の様式は原則自由(各自治体のHPでダウンロードする事も可能)
・元請業者は工事の請負契約前に計画書を作成し発注者に説明義務あり
・解体工事ではない新築工事の場合も、計画書の作成が必要
※工事に伴い副次的に発生する特定建設資材廃棄物の見込み量や、特定建設資材が使用される対象建築物等の部分などを記載

③事前措置
元請業者は②で作成した分別解体の計画に従い事前措置を講します。
事前措置で行う作業は主に以下があげられます。

・作業場所及び搬出経路の確保
・残存物品等の搬出の確認
・付着物の除去  等

④解体工事等の施工
元請業者は、計画に従い解体工事等を施工します。
解体工事の標準的な作業手順も法令により定められていますので次に紹介します。

解体工事の標準的な作業手順

建築物やそれ以外の土木工作物などの解体工事の作業手順(工程)は施行規則で定められています。
※ただし、建築物の構造上これにより難い場合はこの限りではありません

建築物に関する解体手順

①建築設備、内装材等の取り外し
※内装材に木材が含まれる場合には、木材と一体となった石膏ボード等の建設資材をあらかじめ取り外してから、木材を取り外します

②屋根ふき材の取り外し

③外装材、上部構造部分の取り壊し

④基礎及び基礎ぐいの取り壊し
※原則①②は手作業、③④は手作業及び機械作業とする

建築物以外(土木工作物等)に関する解体手順

①さく、照明設備、標識等の付属物の取り外し

②工作物のうち基礎以外の部分の取り壊

③基礎及び基礎ぐいの取り壊し
※①②③は手作業及び機械作業とする

分別解体をしなかった場合

対象建設工事にも関わらず、分別解体をしなかった場合の行政の対応や罰則も法令で規定されています。

まず、分別解体等の計画書の内容が適切でない場合は、行政は計画変更命令を出す事ができます。
また、分別解体等が適切に行われていない場合は、助言又は勧告、実施命令を出す事ができます。

それでもなお従わない場合、違反業者には50万円以下の罰金が科せられます。

分別解体をしなくてもよいケース

分別解体は対象建設工事であれば原則義務付けられますが、正当な理由があれば実施しなくて良いケースがあります。
以下のようなケースが考えられますが、具体的には個別の判断が必要なため、必ず各自治体に相談するようにしましょう。

・有害物で建築物が汚染されている場合
・災害で建築物が倒壊しそうなど、分別解体が危険な場合
・災害の緊急復旧工事など、緊急を要する場合
・ユニット型工法等、現場で解体しなくとも再資源化が担保されている場合

まとめ

以上、ここまで建設リサイクル法の分別解体について紹介してきました。

国は建設廃棄物の再資源化100%を目指しており、分別解体の実施義務違反はますます厳しく取り締まられる傾向にあります。

正しい知識を身につけて、環境にやさしい施工を心がけましょう。

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