産業廃棄物収集運搬業の許可業者は、その内容に変更があった場合、届け出る義務があります。
この届け出を変更届といい、この義務を怠ると罰則の対象になってしまいます。
本記事では、許可業者の義務である変更届について、その書き方まで詳しく解説します。
本記事のポイント
・事業者に変更があった場合届け出義務有り
・変更があった日から10日以内に提出
・届け出を怠ると罰金の対象となる
目次
産業廃棄物収集運搬業の変更届とは?
産業廃棄物収集運搬業の許可業者は、その事業について変更が生じた場合、その内容について自治体に届け出なければなりません。
これは廃棄物処理法で明文化されている許可業者の義務になります。
許可を与えた自治体からすると、業者が申請した内容に対して許可を与えている為、その内容に変更があれば、引き続き許可を与えるにふさわしい業者であるか確認する必要がある為です。
変更届の提出が必要な事項
許可業者は、以下の事項に変更が生じた場合、変更日から10日以内に変更届を提出しなければなりません。
例えば、運搬に使用する車両を追加で購入した場合や、事務所が手狭になってきたので移転したような場合は、10日以内に届け出を提出しなければいけません。
なお、法人の場合で、届け出提出時に変更後の登記事項証明書を添付しなければならない場合(役員変更など)は、変更から30日以内に期限が伸びます(登記変更に時間を要する為)。
取り扱い品目を追加する場合は変更許可
取り扱う産業廃棄物の品目を追加したい場合は、変更届では認められず、「変更許可申請」をしなければなりません。
例えば、今まで廃プラやがれき類の運搬を事業の範囲としていたが、木くずも取り扱い品目として追加する場合などは、この変更許可申請が必要です。
変更届と違い手数料がかかりますし、作成しなければならない書類も新規申請とほぼ同等のものを求められます。
変更届の提出方法
変更届は許可を受けている行政庁に対して書面で行います。
自治体によって異なりますが窓口への持ち込みの他、郵送での提出を認めているところも多いです。
変更届書は以下のような書式になっており、各自治体のHPからダウンロードする事が可能です。
また、変更届書以外にも、その変更する内容によって必要な添付書類があり、それらは自治体によって扱いが異なりますので、申請先の手引きを確認し必要書類を揃えるようにしましょう。
変更届の記載例(東京都手引き)
変更届は手数料がかからない
変更届は手数料がかかりません。
郵送申請をするのであればその切手代など、申請の為にかかる費用のみです。
変更届を提出しなかった場合
変更届の提出が必要な変更があったにも関わらず、変更届を提出していなかった場合は、30万円以下の罰金に処せられます(廃棄物処理法 第30条)。
この罰則の最も怖い点は、罰金刑は産業廃棄物収集運搬業許可の欠格要件に該当する点です。
つまり変更届を提出せずに罰金刑を受けると、許可が取り消されてしまう事になります。
そうならない為にも、変更届の提出は絶対に忘れないように行いましょう。
それでも提出を忘れてしまった場合
それでもうっかり忘れてしまっていて、例えば許可を更新する際に、役員を変更していたけど変更届を出してなかったことが判明したような場合、どうしたらよいのでしょうか?
この場合、自治体によって対応は異なりますが、実際は即罰金刑に処せられるケースはまれなようです(ただし悪質なケースや何度も繰り返しているケースは別です)。
例えば大阪府の場合、変更届の提出が遅れた場合は以下の書面を提出する事で許してもらえるようなケースがあったりします。
ただし、原則は必ず10日以内の提出が義務ですので、1日でも遅れれば罰金をくらっても文句は言えませんし、自治体によってそこの判断(厳しさ)は様々ですので、もし未提出でお悩み方がおられれば、専門の行政書士などに相談される事をオススメします。
遅延理由書(大阪府の場合)
まとめ
以上、ここまで産業廃棄物収集運搬業の変更届について紹介してきました。
変更届は普段の忙しい業務の中でついつい提出を忘れがちですが、法律に明文化された許可業者の義務ですので、業務の一環としてきちんと管理提出するよう心がけましょう。
また変更届以外にも許可業者に課せられている義務はいくつかありますので、それらの義務もしっかりと理解し、法律を遵守した正しい廃棄物運搬を行いましょう。
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