産業廃棄物収集運搬業者は帳簿の作成と保管が義務付けられています。
この義務を怠ると最悪の場合許可取り消しになる可能性もあります。
本記事では産業廃棄物収集運搬の帳簿について、記載項目から記載例、保管方法などの運用ルールまでわかり易く解説します。
本記事のポイント
・産業廃棄物収集運搬業者は帳簿作成が義務
・帳簿は廃棄物の運搬状況を記録する為に作成
・帳簿の作成義務を怠った場合は罰金刑の対象
産業廃棄物収集運搬における帳簿とは?
産業廃棄物収集運搬業者は、産業廃棄物の運搬状況を正確に記載した帳簿の作成が法律で義務付けられています。
産業廃棄物を処理(運搬や処分)する際に同じく作成が義務である書類には、契約書やマニフェストがありますが、それらは、廃棄物を排出する事業者に作成義務があります。
この「帳簿」については廃棄物を運搬する事業者に作成義務がある点がそれらとの違いになります。
帳簿の記載事項と記載期限
帳簿は記載しなければならない項目とその記載期限が以下の通り定められています。
翌月末までに記載が必要な項目
・収集又は運搬年月日
・受入先ごとの受入量
・運搬方法及び運搬先ごとの運搬量
・積替え又は保管を行う場合には、積替え又は保管の場所ごとの搬出量
交付されてから10日以内に記載が必要な項目
・マニフェストの交付者
・マニフェストの交付年月日
・マニフェストの交付番号
なお、運搬する廃棄物に、石綿含有産業廃棄物、水銀使用製品産業廃棄物又は、水銀含有ばいじん等が含まれる場合、上記のそれぞれの事項について該当するものを明らかにする必要があります。
帳簿の記載例
帳簿の様式は定めていない為、上記の記載事項を満たしていれば独自の様式で帳簿を作成して構いません(帳簿作成ソフトなどの民間サービスも存在します)。
参考までに以下に記載例を載せておきます。
引用:大阪府手引き
帳簿の運用方法
帳簿は作成方法だけでなく、作成後の運用も法律で決まっています。
帳簿の備付け
帳簿は、事業場ごとに備え、毎月末までに前月中の事項について記載を終了する
帳簿の閉鎖
帳簿は1年ごとに閉鎖し、新しい帳簿に書き換える
帳簿の保管
閉鎖した帳簿は、事業場ごとに5年間保管する
帳簿を作成しなかった場合
帳簿を作成しなかった場合は、それがうっかり忘れていたような場合でも30万円以下の罰金対象になります(廃棄物処理法第三十条)。
この罰金の怖い所は、産業廃棄物収集運搬業者許可の欠格要件に該当してしまい、収集運搬業許可が取り消されてしまう可能性がある事です。
そうならない為にも、帳簿作成義務は必ず遵守するようにしましょう。
この罰則は、帳簿の備付けや保管の義務を怠った場合にも適用されますので注意しましょう。
マニフェストによる代用
廃棄物の排出事業者から受け取るマニフェストを、帳簿の代わりとすることも条件付きで可能です。
受け取ったマニフェストに、上記の必要事項が全て記載されているか確認し、不足事項があれば追記する事で帳簿の代用として認められます(電子マニフェストについても同様)。
まとめ
以上、ここまで産業廃棄物収集運搬の帳簿について紹介してきました。
帳簿は許可業者の義務ですので、作成しないのはもってのほかですが、備付けや保管などその運用も適切に行うよう心がけましょう。
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