建設廃棄物の正しい保管について!必ず守るべき5つの保管基準

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建設廃棄物の正しい保管方法をご存知ですか?

建設廃棄物は適用される保管基準があり、元請業者や下請け業者はそれらを正しく理解して廃棄物の管理を行わなければいけません。

本記事では建設廃棄物の正しい保管方法について詳しく解説していきます。

本記事のポイント
・建設廃棄物で産廃に該当すれば保管基準有
・保管場所の掲示板設置義務や飛散防止義務
・特別管理産業廃棄物はより厳格な基準有


建設廃棄物の保管方法について

建設廃棄物は工事により日々大量に排出される為、現場で一定期間保管を行い、定期的に搬出を行うという運用がとられます。
その保管の際、建設廃棄物はその大部分が産業廃棄物に該当する為、実質的に産業廃棄物の保管基準に準じて保管する必要があります。

なお、産業廃棄物の保管基準は、廃棄物処理法によって細かく決められています

事業者は、その産業廃棄物が運搬されるまでの間、環境省令で定める技術上の基準(「産業廃棄物保管基準」)に従い、生活環境の保全上支障のないようにこれを保管しなければならない。

廃棄物処理法 第十二条2項

保管基準について

それでは建設廃棄物にも適用される産業廃棄物の保管基準について紹介していきます。
建設廃棄物を現場で保管する際は以下の基準を順守しましょう。

1.周囲い囲いが設けられている

保管場所の周囲には囲いが設けられている事が必要です。
産業廃棄物の荷重が囲いに直接かかる場合は、その荷重に対して構造耐力上安全である事も求められます。

2.掲示板が設けられている

保管場所の見やすい箇所に、以下の項目を記載した掲示板を設置する必要があります。

①廃棄物の保管場所である旨
②保管する廃棄物の種類
③保管場所の管理者の氏名又は名称、連絡先
④最大積み上げ高さ(屋外において容器を用いずに保管する場合に限る)

また、掲示板のサイズは60 ㎝×60 ㎝以上であることも必須です。

掲示板の見本

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引用:大阪府手引き

3.飛散、流出、地下浸透等の防止措置

保管場所で、産業廃棄物の飛散、流出、地下浸透や、悪臭・害虫の発生等が生じないよう措置を講じる必要があります。

廃棄物の保管に伴い汚水が生ずるおそれがある場合、公共水域および地下水の汚染防止の為に必要な排水溝、その他の設備を設けるとともに、それらの設備の底面を不浸透性の材料で覆う等の対策が求められます。

4.積み上げ条件を超えない

産業廃棄物を容器に入れずに屋外で保管する場合、以下の範囲内での保管が必要です。

廃棄物が囲いに接しない場合
囲いの下端から勾配50%以下(左図)
※勾配50%とは、底辺:高さ=2:1の傾きで約26.5°

廃棄物が囲いに接する場合
直接、壁に負荷がかかる場合は、囲いの内側2mは囲いの高さより50㎝の線以下とし、2m以上の内側は勾配50%以下(右図)

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引用:大阪府手引き

5.石綿又は水銀を含む廃棄物は特定の保管措置

石綿含有産業廃棄物や水銀使用製品産業廃棄物については、他の廃棄物と混合しないよう区分して保管し(仕切り、覆い、梱包など)、掲示板の廃棄物の種類の欄に、それらが保管されている旨を記載する必要があります。


特別管理産業廃棄物の保管基準

特別管理産業廃棄物を保管する場合は、上記の保管基準に加えて、他の廃棄物が混入しないように仕切りを設ける等の措置を講ずる必要があります。

また、廃棄物の種類に応じて、以下の措置を講しなければなりません。

廃油容器に入れ密封する等、揮発防止の為に必要な措置
高温にさらされない為に必要な措置
廃酸
廃アルカリ
容器に入れ密封する等、腐食を防止する為に必要な措置
廃PCB等容器に入れ密封する等、飛散、流出又は揮発防止の為に必要な措置
高温にさらされない為に必要な措置、及び腐食の防止の為の措置
廃石綿梱包する等、飛散防止の為に必要な措置
廃水銀等容器に入れ密封する等、飛散、流出又は揮発防止の為に必要な措置
高温にさらされない為に必要な措置、及び腐食の防止の為の措置

発生場所以外での保管について

建設工事で発生する産業廃棄物を、排出事業者(元請)が発生した現場以外の場所で保管をする場合、その保管場所が300平方メートルを超える場合は事前の届け出が必要です。

届け出は「産業廃棄物事業場外保管届出書」(特別管理産業廃棄物の場合は別紙も必要)と、以下の書類を提出する事で行います。

・保管場所付近の見取図
・保管場所の構造を明らかにする平面図
・保管場所の土地の登記事項証明書
(保管場所が排出事業者の所有でない場合は、賃貸借契約書その他使用権原を証する書類の写し)

産業廃棄物事業場外保管届出書見本

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引用:大阪府手引き

自治体によっては条例で届け出が必要なケースも

自治体によっては条例で事業場外保管の事前届け出制度を導入しているケースもあります。
その場合は、上記の届け出とは別に自治体にも届け出が必要になり、特に注意が必要なのが、300平方メートル未満でも届け出が必要なケースも出て来ます。
※2020年10月現在、多くの自治体が300平方メートル未満での届け出制を導入しています

事業場外での保管をする排出事業者は、必ず自治体の条例を確認するようにしましょう。

保管の具体的な定義はない

ここまで廃棄物の保管基準について紹介してきましたが、どこからが保管にあたるかは判断が難しい問題です。
例えば、分別の為に設置しているゴミ箱は保管場にあたるかどうかについては、もしあたるのであればゴミ箱にも厳格な保管基準が適用されます(掲示板の設置義務など)。

これについては廃棄物処理法の中に具体的な記載はなく、保管の定義に該当しそな箇所は「その産業廃棄物が運搬されるまでの間」という表現にとどまります。
そうなるとゴミ箱も保管場にあたってしまいそうですが、さすがにそれは実務上現実的な考え方ではありません。

ただ廃棄物が一時的でも存在している場所を、保管場所としてその基準を備えるべきかは、自社で統一的なルールを定め、一貫した考え方の元に判断していくしかありません。
保管基準については直接的な罰則規定はなく、何か指摘や指導があったとしても自社としてこういう判断で保管場所としていないという説明が出来れば、明らかに不法な行為でない限り、ただちに大きな問題となる事は考えにくいと思われます。

まとめ

以上、ここまで建設廃棄物の保管について紹介してきました。

その大部分が産業廃棄物にあたる建設廃棄物は、法令で決められた保管基準を守って正しく管理する事が求められます。

これは元請業者はもちろんのこと、現場で作業する下請け業者もしっかり遵守する必要がある為、共通認識として現場全体で共有する事が大切です。

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