建設廃棄物の特別管理産業廃棄物とは?見分け方や処理の注意点を解説

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建設廃棄物は産業廃棄物として処理されるものがほとんどです。

しかし、中には特別管理産業廃棄物として処理しなければならないものが含まれるケースがあります。
特別管理産業廃棄物で注意しないといけないのが、普通の産業廃棄物として処理すると法律違反となってしまう事です

本記事では建設廃棄物における特別管理産業廃棄物について詳しく紹介していきます。

本記事のポイント
・有害性の高い産廃が特別管理産業廃棄物
・特別管理産業廃棄物管理責任者の設置義務有
・運搬および処分業者は専門の許可が必要


特別管理産業廃棄物とは?

産業廃棄物の中で「爆発性、毒性、感染性その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有する廃棄物」は「特別管理産業廃棄物」に区分されます。

特別管理産業廃棄物は、普通の産業廃棄物より、厳しい処理基準が設けられています。

特別管理産業廃棄物に該当するもの

以下に該当する産業廃棄物は特別管理産業廃棄物としての処理が必要になります。

品目内容
廃油揮発油類、灯油類、軽油類(引火点70℃未満の燃焼しやすいもの)
廃酸著しい腐食性を有するもの(pH2.0以下のもの)
廃アルカリ著しい腐食性を有するもの(pH12.5以上のもの)
感染性産業廃棄物医療機関、試験研究機関等から発生し、感染性病原体が含まれるもの、
もしくは付着し、又はそのおそれのあるもの
廃水銀等特定施設において生じた廃水銀又は廃水銀化合物
特定有害産業廃棄物PCBや石綿など、特に有害性の高い物質またはそれらを含むもの

建設工事における特別管理産業廃棄物

では、建設工事で排出される廃棄物(建設廃棄物)でこの特別管理産業廃棄物に該当するものは、どういったものがあるのでしょうか。

そのほとんどが廃油もしくは特定有害産業廃棄物に該当する廃石綿等です。
それぞれ詳しく見ていきましょう。

廃油

引火点が70℃未満の揮発性油や軽油、灯油が該当します。
シンナーや燃料などの残りは該当する可能性があります。
なお、引火点が70℃以上であれば普通の産業廃棄物の廃油して処理されます。

廃石綿等

解体工事では特に注意が必要なのがこの廃石綿等になります。
石綿とはいわゆるアスベストの事で、以前は安価で高機能な材料として多くの建築物に使用されていましたが、現在では人体への影響を考慮し原則使用が禁止されています。

解体工事に伴い以下の廃棄物が出る場合は、特別管理産業廃棄物として適切な管理が求められます。

①吹付け石綿を除去したもの(石綿そのもの)
②以下の石綿を含む保温材、耐火被覆材等を除去したもの
・石綿保温材
・けいそう土保温材
・パーライト保温材
・上記のものと同等以上に石綿が飛散するおそれのある保温材(比重0.5以下の石綿含有保温材)
③上記のものを除去する際に用いられた養生シート、防じんマスク等石綿の付着しているおそれのあるもの

なお、解体工事等で排出される上記以外の廃棄物で、石綿をその重量の0.1%を超えて含有するものは、普通の産業廃棄物(石綿含有産業廃棄物)として処理されます。

廃PCB等

PCBを含む廃棄物についても注意が必要です。
PCBとはポリ塩化ビフェニルの事で、石綿同様に、以前は変圧器やコンデンサーなどの絶縁材として使用されていましたが現在は使用が禁止されています。

解体工事の際に、建築物から変圧器やコンデンサーが見つかった場合、それらは廃PCB等の特別管理産業廃棄物である可能性がある為、建物所有者に連絡し、必ず製造メーカーに確認するか分析により、PCBの使用又は混入しているか確認しましょう。

廃PCB等が上記の廃石綿や廃油と異なる点は、それらが建物所有者の処理責任となる点です。理由は、それらが解体工事により新たに発生した廃棄物ではない為です。
したがって、建物所有者に代わって、工事業者がPCB廃棄物を処理(運搬、保管、処分)する事はできませんので注意しましょう(所有者と委託契約を結び、工事業者が必要な許可を持っている場合は可能)。


特別管理産業廃棄物の処理の注意点

特別管理産業廃棄物は人体や環境への有害性が高いため、より厳格な処理ルールが定められています。
特別管理産業廃棄物を処理する際に、普通の産業廃棄物の処理と比べて注意が必要な点を紹介していきます。

他の廃棄物と混合しない為の措置が必要

現場で特別管理産業廃棄物を保管する際に、他の廃棄物と混合しないよう、仕切りを設けるなどの措置を講じる義務があります。
また種類ごとに必要な措置も決められており、例えば廃油などは容器に入れて密封し、揮発防止及び高温にさらされないための措置を講じる事、廃石綿等は梱包するなど飛散防止に必要な措置を講じる事が義務付けられています。

委託する場合は専門の許可業者に

元請業者が特別管理産業廃棄物の運搬や処分を委託する場合は、以下の業許可を持つ業者にそれぞれ委託しなければなりません。

・特別管理産業廃棄物収集運搬業
・特別管理産業廃棄物処分業

下請け業者が現場で出た特別管理産業廃棄物を運搬する場合は、必ず特別管理産業廃棄物収集運搬業の許可が必要という事になり、産業廃棄物収集運搬業許可だけしか持っていなければ無許可営業で法律違反となります。

特別管理産業廃棄物管理責任者の設置

特別管理産業廃棄物を排出する事業所(現場)には、必ず特別管理産業廃棄管理責任者を設置しなければいけません
特別管理産業廃棄物の役割は、廃棄物の排出状況の把握や処理計画の立案、マニフェストの交付などを行います。

特別管理産業廃棄管理責任者の資格要件
特別管理産業廃棄管理責任者は以下「イ」~「り」の資格もしくは学歴を有し、一定期間以上の廃棄物処理の実務経験がある者しかなる事が出来ません。

記号資格区分課程科目実務経験
環境衛生指導員2年
大学理学、薬学、
工学、農学
衛生工学
化学工学
2年
大学理学、薬学、
工学、農学、
他の相当課程
衛生工学
化学工学 以外
3年
短期大学
高専
理学、薬学、
工学、農学、
他の相当課程
衛生工学
化学工学
4年
短期大学
高専
理学、薬学、
工学、農学、
他の相当課程
衛生工学
化学工学 以外
5年
高校
中等教育
土木科
化学科
他の相当科目
6年
高校
中等教育
理学、工学、農学
他の相当科目
7年
上記以外10年

上記の者と
同等以上の知識を
認められる者

「リ」の同等以上の知識を認められる者は、自治体によって扱いがことなりますが、多くの自治体では、日本産業廃棄物処理振興センター主催の「特別管理産業廃棄物管理責任者に関する講習会」修了者であれば認められます。

まとめ

以上、ここまで特別管理産業廃棄物についてご紹介しました。

建設工事の場合、特に解体工事では排出されるケースがありますので、通所の産業廃棄物との違いを含めその処理方法を正しく理解するようにしましょう。

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