建設廃棄物のマニフェストとは?交付義務あり?仕組みや記入例を解説

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建設廃棄物を処理する際にマニフェストが必要という話を聞いたことはありませんか?

なぜ建設廃棄物を処理するのにマニフェストが必要か、必要な場合どのように運用すれば良いのかは、排出事業者である元請業者はもちろん、実際にマニフェストの運用に関わる下請け業者も理解していおく必要があります。

本記事では、建設廃棄物の処理で使用するマニフェストについて詳しく紹介します。

本記事のポイント
・マニフェストは産廃の委託処理時に交付義務
・産廃の運搬や処分の完了を確認する仕組み
・元請業者が記入・交付・管理を行う


建設廃棄物の処理方法について

建設廃棄物は、建設工事によって排出される廃棄物の事を指し、そのほとんどが産業廃棄物で構成されます。
またこの建設廃棄物の処理責任は元請業者にあります。

処理責任を負う元請業者が、工事によって出る産業廃棄物を処理する手段は2つあり、1つは全て自社で埋立処分まで行う「自己処理」で、もう1つは処理を専門業者に委託する「委託処理」です。

産業廃棄物の処理には設備や知識、ノウハウが必要なため、実態としてはほぼ全ての元請業者が、「委託処理」により産業廃棄物を処理しています。
この時、処理を委託する排出事業者(元請)はマニフェストを交付する事が義務付けられています。


マニフェストとは?

マニフェストは「産業廃棄物管理票」とも呼ばれ、委託する産業廃棄物の情報や処理の概要が記載された書類の事です(現在は電子データ版も存在します)。
マニフェストを廃棄物の流れに合わせて関係者間で共有しあう事で、排出事業者(元請)が廃棄物の処理状況を把握・管理でき、最終的な処理の完了を確認できる仕組みになっています。

このマニフェスト制度は、廃棄物処理法に規定されており、排出事業者はその作成と交付および保管義務(5年間)があり、収集運搬業者及び処分業者はマニフェストが交付されていない廃棄物の引き受けが禁止されています。

マニフェストに記載される項目
・排出事業者と排出場所
・マニフェスト作成担当者と交付日
・産業廃棄物の種類、数量、形状、荷姿
・収集運搬業者名と所在地
・処分業者名と所在地
・中間処理施設の所在地と処分方法
・最終処分の予定地
・取扱い上の注意事項 等
※後ほど記入例をご紹介

マニフェストは搬出の都度作成が必要

マニフェストは原則として、産業廃棄物の引渡しをする都度発行する必要があります。
そのため、同じ種類の廃棄物を同じ数量複数回に分けて搬出する場合も、搬出回数分のマニフェストが必要になります。

なお、極めてレアなケースにはなりますが、産業廃棄物を完全に自己処理する場合は、マニフェストの交付は不要です。


マニフェストの仕組み

マニフェストは7枚の複写式伝票になっており、それらを廃棄物の流れに合わせて関係者間で受け渡し及び保管する事で、廃棄物処理の状況が把握できる仕組みです。

7枚の伝票(A・B1・B2・C1・C2・D・E)を以下の流れで共有する事で、最終処分の完了までを排出事業者が確認できるようになっていいます。
※中間処理業者を挟まない場合は一次マニフェストで完結します

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A票運搬業者が担当者、車番、車種を記入押印後、排出事業者で保管
B1票処分業者が担当者、受領日を記入押印後、運搬業者で保管
B2票処分業者が担当者、受領日を記入押印後、運搬業者が排出事業者に送付
排出事業者はB2票で処理業者への運搬完了を確認
C1票処分終了日、担当者を記入押印後、処分業者で保管
C2票処分終了日、担当者を記入押印後、10日以内に運搬業者に送付
運搬業者はC2票で処理業者の処分完了を確認
D票処分終了日、担当者を記入押印後、10日以内に排出事業者に送付
排出事業者はD票で処理業者の処分完了を確認
E票最終処分業者から二次マニフェストD,E票が返送されてから排出事業者に送付
排出事業者はE票で最終処分完了を確認
※マニフェスト交付後90日以内に排出事業者に返送される事

建設系廃棄物マニフェストについて

建設工事で排出される産業廃棄物は、他の事業と比べて混合廃棄物が多い等の独自の特徴を持っている為、建設廃棄物向けのマニフェストが存在します。

建設6団体が発行する「建設系廃棄物マニフェスト」と呼ばれるもので、法令に準拠した様式として環境省の承認も得ており、ほとんどの建設工事の現場で利用される様式になります。
※「建設マニフェスト販売センター(外部ページ)」でのみ購入可能

マニフェストの記入例

実際に現物を見なければイマージも沸きにくと思いますので、建設系廃棄物マニフェストの記入例を見てみましょう。

なお、上記にリンクを貼った「建設マニフェスト販売センター」のHPには、より詳しい記入方法の解説がありますので、気になる方は参照ください。

建設系廃棄物マニフェストの記入例

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引用:建設マニフェスト販売センター

マニフェスト交付状況の報告義務

マニフェストを交付した排出事業者(中間処理業者を含む)は事業場ごとに前年度1年間のマニフェスト交付等の状況(産業廃棄物の種類および排出量、マニフェストの交付枚数等)について、都道府県知事等への報告が義務付けられています。

対象は前年度の4月1日〜3月31日までの期間で、毎年6月30日までの提出が必要です。
以下の「産業廃棄物管理票交付等状況報告書」により各都道府県知事に報告を行います。

交付状況報告書の見本

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引用:東京都環境局

電子マニフェストについて

電子マニフェスト制度は、マニフェスト情報を電子化して、排出事業者、運搬業者、処分業者の3者が情報処理センターを介したネットワークでやり取りする仕組みです。
※電子マニフェストの利用は、関係者(3者)全員がシステムに加入する必要有

電子マニフェスト導入のメリットは、関係者間での「事務処理の効率化」、「データの透明性」の確保、「法令の遵守」の徹底等があげられます。
また排出事業者の最大のメリットとして、書面での5年間の保管義務がなくなる点と、年に1回の産業廃棄物管理票交付等状況報告書の提出義務がなくなる点があげられます。

電子マニフェストの普及は国も力を入れており、2020年4月から、前々年度の特別管理産業廃棄物(PCB廃棄物を除く)の発生量が50トン以上の事業者(多量排出事業者)が、特別管理産業廃棄物(PCB廃棄物を除く)の処理を委託する際は、電子マニフェストでの運用が義務化されました。

まとめ

以上、ここまで建設廃棄物のマニフェストについて紹介してきました。

マニフェスト制度は産業廃棄物を委託処理する事業者は必ず理解しておかないといけない制度です。
当然マニフェストを交付せずに処理を行った場合、関与した関係者全員が罰則対象になりますので注意しましょう。

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