建設廃棄物とは?法律違反にならない為に知っておくべき5つの事!

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建設工事では大量の廃棄物が生じますが、それらは建設廃棄物と呼ばれ、法律によって厳しくその扱いが決められています。

建設廃棄物に関する正しい知識がないと、知らないうちに法律違反を犯してしまい、営業停止処分などを受けてしまう可能性もあります。

本記事では建設廃棄物について、その定義から処理方法まで、最低限抑えておくべきポイントご紹介します。

本記事のポイント
・建設廃棄物は建設副産物中の廃棄物を指す
・一般廃棄物と産業廃棄物の両方を含む概念
・産業廃棄物の処理については厳格な規定有


建設廃棄物の定義

建設廃棄物とは、建設副産物のうち、廃棄物処理法第2条1項に規定する廃棄物に該当するものをいい、一般廃棄物と産業廃棄物の両方を含む概念です。
※「建設廃棄物」という言葉自体は廃棄物処理法には登場せず、その定義は「建設廃棄物処理指針」の中でされています。

建設副産物
建設工事に伴い生じるすべての物品の事を指し、主に以下の3つに分類されます。

有価物
スクラップ等他人に有償で売却可能な物
建設発生土
土地造成や 河川等の浚渫で生ずる土砂等
建設廃棄物
廃棄物処理法第2条1項に規定する廃棄物

廃棄物の定義

建設廃棄物は、建設副産物の中の廃棄物が該当する事がわかりました。
では、廃棄物の定義を見ていきましょう。

「廃棄物」とは、ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であつて、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによつて汚染された物を除く。)をいう。

廃棄物処理法 第二条

ただし、ここで列挙されているものでも、価値があれば廃棄物ではなく「有価物」になります。
例えば「ふん尿」はたい肥として利用する場合は有価物です。
その為、廃棄物であるかは「不要物」であるかが大きなポイントになります。

廃棄物とは、占有者が自ら、利用し、又は他人に有償で売却することができないために不要になつた物をいい、これらに該当するか否かは、占有者の意思、その性状等を総合的に勘案すべき

通知:昭和46年10月25日環整45号

廃棄物の分類
廃棄物は主に「産業廃棄物」と「一般廃棄物」に分類されます。

産業廃棄物
事業活動に伴つて生じた廃棄物のうち、法律や政令で定める20種類の廃棄物および輸入した廃棄物
一般廃棄物
産業廃棄物以外の廃棄物
家庭の日常生活に伴って生じた廃棄物等


建設廃棄物の種類

以上の定義を踏まえた上で「建設廃棄物」の内容を図で示します。
以下の図が建設廃棄物の位置づけと種類になります。

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図の通り、現場で発生する建設廃棄物は、大きく一般廃棄物と産業廃棄物に分けられ、それらは運搬および処理の委託先が市町村か民間業者かという違いがあります
※産業廃棄物については、自社で最終処分まで行う場合は委託する必要はありませんが、自社で最終処分まで実施する例はほとんどありません

また産業廃棄物については、処分方法や危険度によりさらに3種類に分別がされます(後ほど詳しく紹介)。

建設廃棄物における一般廃棄物

建設廃棄物における一般廃棄物は以下のようなものがあげられます。
※法律上定義されていませんが、家庭から出る一般廃棄物と区別し「事務系一般廃棄物」と呼ばれます。

・事務所ごみ(コピー用紙、ティッシュ)
・飲食等で出た生活系廃棄物(生ゴミ)
・木製の机、椅子  等
※自治体により扱いが異なります

建設廃棄物における産業廃棄物

建設廃棄物における産業廃棄物は、最後に埋立処理がされる最終処分場の種類によって大きく2つに分けられます
それぞれの種類ごとに詳しい品目を見ていきましょう。

安定型産業廃棄物
安定型最終処分場で処理される産業廃棄物の事を指します。
安定型最終処分場では、雨水等によっても変化しにくく、人や環境への有害性が低いと考えられる以下の廃棄物が処理されます。

・がれき類
・廃プラスチック類
・ゴムくず
・金属くず(鉛を含まないもの)
・ガラスくず、コンクリートくず、及び陶磁器くず(石膏ボードを除く)

管理型産業廃棄物
管理型最終処分場で処理される産業廃棄物の事を指します。
安定型産業廃棄物に該当せず、かつ一定基準以上の有害性を有しない産業廃棄物は全て管理型最終処分場で処理され、以下のような廃棄物が該当します。
※一定基準以上の有害性を有する産業廃棄物は「遮断型最終処分場」で処理されます

・金属くず(鉛を含むもの)
・木くず
・繊維くず
・廃油
・汚泥
・ガラスくず、コンクリートくず、及び陶磁器くず(石膏ボード)

また、上記であげた産業廃棄物の中でも、特に有害性や危険性の高いものは「特別管理廃棄物」と呼ばれ、より厳しい管理基準が設けられています。

特別管理産業廃棄物
爆発性、毒性、感染性その他の人の健康又は生活環境に被害を生ずるおそれがある性状を有する産業廃棄物で以下のものが該当します。

・廃油(揮発油類、灯油類)
・廃酸(pH2.0以下)
・廃アルカリ(pH12.5以上)
・廃PCB等(トランス、コンデンサ)
・廃石綿等(飛散性アスベスト)


建設廃棄物の処理責任の所在

現場で生じる建設廃棄物については、元請業者が排出事業者としてその処理責任を負う事になります。

土木建築に関する工事が数次の請負によつて行われる場合にあつては、当該建設工事に伴い生ずる廃棄物の処理についてのこの法律の規定の適用については、当該建設工事の注文者から直接建設工事を請け負つた建設業を営む者(以下「元請業者」という。)を事業者とする。

廃棄物処理法 第二十一条の三

建設廃棄物はその特徴として、種類が多くかつ大量に排出されるため、不法投棄の問題が発生しやすく、元請業者の排出事業者としての責任や義務は、次に紹介する廃棄物の処理フローにおいても厳しく法律で決められています。

建設廃棄物の処理フロー

建設廃棄物の処理フローは法律で厳格に定められており、そこから逸脱した場合、罰則を受ける事になります。
元請業者は以下のフローに沿って法令を遵守し最終処分まで責任を持って扱う事が求められます。

産業廃棄物の処理フロー
工事受注
①廃棄物の種類と請負形態の確認

施工計画
②処理計画の立案
③処理の委託業者の選定
④委託契約の締結

施工開始
⑤廃棄物の分別・管理
⑥マニフェストの交付

竣工
⑦処理実績の確認・報告

①廃棄物の種類と請負形態の確認
工事を受注したら、まずはその工事で発生が予測される廃棄物の種類と、請負形態が元請か下請かを確認します。

②処理計画の立案
①で行った確認を元に、具体的に廃棄物の処理計画書を立案します。
廃棄物の種類、発生量、またそれらの分別、保管、収集運搬、再生利用、中間処理、最終処分の方法等を明確に計画に落とし込みます。
なお、自治体や工事規模によっては処理計画書の作成・提出が義務付けられるケースもあります。

③処理の委託業者の選定
処理計画を元に、廃棄物の処理を委託する業者を選定します。
産業廃棄物の運搬や処分を委託する場合は、産業廃棄物処理業の許可を持っている業者に委託する必要があります(無許可業者に委託した場合、委託した元請も罰則の対象になります)。

④委託契約の締結
元請業者(排出事業者)が産業廃棄物の運搬および処理を業者に委託する場合、運搬業者および処理業者それぞれと委託契約を締結する義務があります。

⑤廃棄物の分別・管理
工事が施工され廃棄物が生じると、元請業者(排出事業者)はそれらを運搬するまでの間、保管基準に則り現場で適切に分別・保管する義務があります。

⑥マニフェストの交付
実際に産業廃棄物の運搬および処理が開始されると、元請業者(排出事業者)は運搬および処理業者に対してマニフェストを交付する義務があります。
マニフェストは産業廃棄物が適切に運搬され処理された履歴を記録する為に、各工程における事業者に廃棄物と一緒に交付され記入がされます。
最終的には元請業者(排出事業者)に返還され、元請事業者は5年間保管する義務があります。

⑦処理実績の確認・報告
マニフェスト等により廃棄物が確実に処理されたことを確認し、必要に応じてその実績を報告書としてまとめます。
自治体や工事の規模によっては、報告書の作成・提出が義務付けられるケースもあります。

工事内容により建設リサイクル法にも対応義務あり

ここまで紹介した処理フローは、廃棄物処理法や建設廃棄物処理指針に基づいたものであり、工事の内容によっては、建設リサイクル法への対応が必要になりケースがあります。
※正式名所は「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」

建設リサイクル法の対象工事

対象工事の種類規模の基準
建築物の解体工事床面積 80m以上
建築物の新築・増築工事床面積 500m以上
建築物の修繕・模様替工事 ( リフォーム等 )請負代金 1億円以上
建築物以外の工作物の工事 ( 土木工事等 )請負代金 500万円以上

建設リサイクル法の対象資材

・コンクリート
・鉄筋コンクリート
・木材
・アスファルト・コンクリート

建設リサイクル法の対象となる場合は、発注者による工事の行政庁への事前の届出や、元請業者から発注者への処理の報告などが義務付けられます

建設廃棄物に関する下請け業者の義務

下請け業者は、産業廃棄物を現場から処理場などに運搬する場合、廃棄物の種類に応じて以下の許可を持っている必要があります。

・産業廃棄物収集運搬業許可
・特別管理産業廃棄物収集運搬業許可

これらの許可無く、産業廃棄物を運搬した場合、無許可営業として下請け業者はもちろんの事、委託した元請業者も罰則の対象となります。

元請業者が自社で処理する場合

元請業者(排出事業者)が産業廃棄物を自ら処理(保管、運搬、処分)する場合は、上記で説明した許可を持っている必要はありません

ただし、その運搬、処分については当然ですが法令で定められた処理基準を遵守しなければなりませんので、委託業者を利用せずに自社で全て産業廃棄物を処理できる建設業者は極めてレアなケースだと考えられます。

下請業者も排出事業者とみなされるケース

下請け業者が、工事の現場内で産業廃棄物を保管する場合は、下請業者も排出事業者とみなされ、元請業者と共に保管基準が適用されます。
そうなると当然下請け業者にも保管基準の遵守義務が発生し、違反した場合は罰則の対象となります。

まとめ

以上、建設廃棄物について、知っておきたいポイントを5つご紹介しました。

建設業者の方は元請、下請けに関わらず、必ず関係してくる問題です。
本記事が正しい知識を身につけ、法令違反をせず安心して工事を施工頂けるきっかけとなれば幸いです。

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