産業廃棄物収集運搬業許可の取得後の注意点!運搬業者の義務を紹介

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産業廃棄物収集運搬業許可を取得した後、許可業者には法律でかせられる義務があります。

それらの義務を正しく理解していなければ、知らないうちに法律違反を犯してしまい、最悪の場合許可取り消しに繋がってしまう可能性もあります。

本記事では、許可業者が特に気を付けたいポイントを中心に、許可業者の義務について紹介していきます。

本記事のポイント
・許可業者には法律でかせられる義務がある
・例えば車両への表示、帳簿作成、変更の届出
・義務を怠った場合は罰金の対象となる


産業廃棄物収集運搬業許可とは?

産業廃棄物収集運搬業許可とは、他人から依頼を受けて産業廃棄物を運搬する場合に必要な許可になります。

この許可を持たずに、他人の産業廃棄物の運搬を行った場合、5年以下の懲役、もしくは1,000万円以下の罰金、又はその両方が科せられます。
またこの罰則は、運搬を行った無許可業者だけでなく、その業者に運搬を依頼した業者も対象になる厳しい規定です。

例えば建設工事の現場であれば、そこで出る産業廃棄物は元請業者のモノになる為、現場で作業をする下請け業者がその産廃を処分場に運搬する事は他人の廃棄物を運搬することになる為、許可を必ず持っていなければなりません。


産業廃棄物収集運搬業の許可業者の義務

産業廃棄物収集運搬業の許可業者には、廃棄物処理法によってかせられる義務があります。

許可を取得すると安心してそれらの義務を怠りがちですが、それらは産業廃棄物を適切に処理する為に運搬業者として最低限守らなければならないルールです。
その中から、許可取得後に特に注意が必要な事項を紹介します。

運搬車両への表示義務

許可業者は処理基準を遵守して廃棄物の運搬を行う必要がありますが、その基準の中に、運搬車両への表示および書面の備付け義務があります。

運搬車両への表示義務
以下の内容を車両の両側面に表示する必要があります(ステッカーやマグネットでの表示が多い)。
※自治体によっては条例により表示内容が追加されるケースがあります

①収集運搬の用に供する運搬車である旨
②許可業者の氏名又は名称
③統一許可番号(下6けた)
※①は140ポイント以上、②③は90ポイント以上とする

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引用:大阪府手引き

書類の備付け義務
以下の書類を運搬車両に備付ける必要があります。

・産業廃棄物収集運搬業の許可証の写し
・産業廃棄物管理票(マニフェスト)
※電子マニフェストの場合、電子マニフェスト加入証、及び運搬する産業廃棄物の種類・量等を記載した書面、又はこれらの電子情報とその情報を表示できる機器

積替え保管をする場合は
運搬業者が廃棄物を現場から処分場に搬入する前に、場外で積替え保管をする場合は、保管基準を遵守して廃棄物を保管する必要があるので注意しましょう。

帳簿の作成義務

許可業者は、産業廃棄物の運搬状況を記録する為の帳簿の作成が義務付けられています。
帳簿は記載しなければならない項目が以下の通り定められています。

・収集又は運搬年月日
・マニフェストの交付者や交付日、交付番号
・受入先ごとの受入量
・運搬方法及び運搬先ごとの運搬量
・積替え又は保管を行う場合には、積替え又は保管の場所ごとの搬出量

また帳簿の保管義務や現場への備付け義務なども規定されています。

変更届等の手続き

許可業者は、以下の事項に変更が生じた場合、変更日から10日以内に変更届を提出しなければなりません。
届出は郵送でも可能で、各自治体のHPから変更届の書式をダウンロードできます。

① 事業の一部廃止
② 氏名又は名称
③ 未成年者の法定代理人

法定代理人が法人の場合その役員も
④ 政令使用人(支店長など)
⑤ 法人役員または株主、出資者
⑥ 住所並びに事務所、事業場及び駐車場の所在地
⑦ その他、事業の用に供する主要な施設(運搬車両等)

なお、取り扱う産業廃棄物の種類を追加する場合は「変更許可」という許可申請が必要ですので、変更届出によって追加する事は認められません。


義務を怠った場合について

ここまで紹介した義務を怠った場合の罰則については以下の通り定められています。

・帳簿の未記載や虚偽記載、保管等の義務違反
・変更届の未提出、虚偽記載

⇒30万円以下の罰金(廃棄物処理法 第30条)

・運搬車両への表示および書類備付け義務違反
⇒直罰規定は無しも、処理基準違反として、事業停止処分等の行政処分の対象となる。
また自治体によっては独自の罰則規定あり。

これらの罰金刑を受けると、産業廃棄物収集運搬業許可の欠格要件に該当する事になり、許可が取り消される可能性がありますので、義務違反は絶対にしないようにしましょう。

その他の注意点

その他の注意点として、委託契約書の締結やマニフェストの受取義務があります。

産業廃棄物を他人に運搬させる場合、その運搬を委託する廃棄物の排出事業者に契約書やマニフェスの締結・交付義務があります。

ただし、運搬業者も契約書やマニフェスト無しに廃棄物を運搬してはいけない規定がある為、契約書やマニフェストを発行しない排出事業者の廃棄物は絶対に運搬しないよう注意しましょう。

まとめ

以上、ここまで許可取得後に注意すべき、許可業者の義務について紹介してきました。

知らずに悪気無く義務違反を犯していたとしても、罰則の対象になってしまいます。
せっかく取得した許可を失わないよう、また許可業者として適切な廃棄物処理を行えるよう、しっかりと果たすべき義務を理解しておくことが大切です。

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